新NISAを始めるとき、多くの人が最初に悩むのが、
「どの投資信託を買えばいいの?」
という問題です。
証券会社の商品一覧を見ると、非常に多くの投資信託が並んでいます。
オルカンやS&P500のような有名な商品もあれば、最近人気になったテーマへ投資する商品、高い分配金をアピールする商品など、その特徴もさまざまです。
これだけ選択肢が多いと、
「人気ランキング上位なら安心かな?」
「最近すごく上がっている商品を買えばいいのでは?」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、投資信託なら何を買っても同じというわけではありません。
商品の特徴を理解せずに選んでしまうと、高い手数料を長期間払い続けたり、自分が想定していた以上のリスクを取ったりする可能性があります。
特に新NISAでは長期間保有することを考えて商品を選ぶ人も多いため、最初の商品選びは重要です。
この記事では、投資初心者向けに、
- 初心者が注意したい投資信託
- 手数料を見るべき理由
- 毎月分配型で注意したいポイント
- テーマ型投資信託のリスク
- 投資信託を選ぶときのチェックポイント
などを分かりやすく解説します。
なお、ここで紹介する商品が「必ず損をする」という意味ではありません。
投資目的によって適した商品は変わります。
今回は、長期・積立で資産形成を目指す初心者が、十分に理解しないまま選ぶ場合に注意したい投資信託という視点で紹介していきます。
1.信託報酬が高すぎる投資信託
まず初心者が注意したいのが、信託報酬が高い投資信託です。
信託報酬とは、簡単にいうと投資信託を保有している間にかかる運用管理費用です。
投資信託を持っている間、継続的に負担することになります。

例えば同じような値動きをする2つの投資信託があり、
A:信託報酬 年0.1%
B:信託報酬 年1.0%
だったとします。
差は年間0.9%です。
「1%も違わないなら、それほど気にしなくてもいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、長期投資ではこの小さな差が積み重なります。
投資額が100万円なら、単純計算で0.9%は年間9,000円。
1,000万円なら年間9万円に相当します。
実際の信託報酬は日々の純資産から差し引かれるため、このように直接請求されるわけではありませんが、長期間保有するほどコストの違いは無視できなくなります。
特にインデックスファンドの場合、同じ指数への連動を目指す商品が複数存在することがあります。
同じような投資対象なら、コストの低さは商品選びで確認したい重要なポイントです。
ただし、
「信託報酬が高い=必ず悪い投資信託」
というわけではありません。
運用方法や投資対象によってコストは異なるため、数字だけで判断するのではなく、何に投資する商品なのか、同じような商品と比べてコストが高くないかを見ることが大切です。
↓低コストで幅広く分散できる投資信託の代表例として知られているのがオルカンです。オルカンの仕組みや特徴はこちらの記事で詳しく解説しています。↓

2.購入時手数料が高い投資信託にも注意
投資信託では信託報酬だけでなく、購入するときに手数料がかかる商品もあります。
例えば100万円を投資するときに購入時手数料が3%かかれば、単純計算では3万円のコストになります。
投資を始めた瞬間から大きなコストを負担することになるため、初心者は特に確認しておきたいポイントです。
一方、現在は購入時手数料が無料の「ノーロード」と呼ばれる投資信託も多くあります。
そのため、
「銀行や証券会社でおすすめされたから」
「担当者が説明してくれたから」
という理由だけで決めるのではなく、購入する前に、
購入時手数料はいくらか
信託報酬はいくらか
を確認しましょう。
投資信託のコストは、将来の運用結果を確実に予測できない中で、事前に確認できる重要な情報のひとつです。
3.毎月分配型の投資信託
初心者が注意したいもうひとつの商品が、毎月分配型の投資信託です。
毎月分配型とは、その名前のとおり、原則として毎月決算を行い、運用状況などに応じて分配金を支払うタイプの商品です。

例えば、「毎月1万円の分配金」と聞くと、
「毎月お金がもらえるならお得なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、ここで理解しておきたいのが、分配金=すべて運用で増えた利益とは限らないことです。
投資信託の分配金には、運用益などから支払われる場合だけでなく、投資家ごとの購入価額によっては元本の一部が払い戻される形になる場合もあります。
そのため、「分配金がたくさん出ている=運用成績がいい」とは限りません。
また、資産形成を目的として長期間運用する場合、運用で得た利益をファンド内で再投資するタイプの商品は、複利を活かしやすいという特徴があります。
一方、頻繁に分配金を受け取ると、その分だけ運用に回る資産が減る可能性があります。
特に、
「分配金が多いから」という理由だけで投資信託を選ぶのは注意が必要です。
分配金の金額だけを見るのではなく、
「どこから分配金が出ているのか」
「分配後に基準価額はどうなっているのか」
「自分は分配金を受け取りたいのか、それとも長期的に資産を増やしたいのか」
まで考えて選ぶことが大切です。
新NISAを使って長期的な資産形成を目指すのであれば、目先の分配金だけではなく、長期間保有したときに資産を育てやすい商品かどうかという視点を持っておきましょう。
4.流行だけで選ぶ「テーマ型投資信託」
初心者が注意したいのが、そのとき話題になっているテーマへ集中投資する投資信託です。

テーマ型投資信託には、
- AI・半導体
- ロボット
- 宇宙関連
- 次世代テクノロジー
- クリーンエネルギー
など、特定の分野やテーマに絞って投資する商品があります。
ニュースなどで成長が期待されている分野を見ると、
「これから伸びそう!」
「今のうちに投資しておけば大きく増えるかも」
と魅力を感じるかもしれません。
もちろん、テーマ型投資信託そのものが悪いわけではありません。
投資したテーマが大きく成長すれば、高いリターンを得られる可能性もあります。
ただし、初心者が長期の資産形成を目的として購入する場合は注意が必要です。
理由のひとつが、投資対象が特定の業界やテーマに偏りやすいことです。
例えば世界中の幅広い企業へ投資する投資信託と比べると、特定テーマの商品は、その業界が不調になったときの影響を大きく受ける可能性があります。
さらに注意したいのが、
話題になったときには、すでに価格が大きく上昇している可能性があること
です。
ニュースやSNSで頻繁に取り上げられるようになってから購入し、その後ブームが落ち着いて価格が下落することも考えられます。
「これから伸びそう」というイメージだけで選ぶのではなく、
どのような企業に投資しているのか
どの程度分散されているのか
信託報酬はいくらなのか
まで確認することが大切です。
↓特定のテーマへ集中するのではなく、幅広く分散して長期投資したい方は、オルカンとS&P500の違いも知っておくと商品を選びやすくなります。↓

5.過去のリターンだけで選ぶ投資信託
証券会社のサイトを見ると、
「1年間のリターンランキング」
「値上がり率ランキング」
などを見ることができます。
すると、
「1年間で+30%」
といった商品が魅力的に見えるかもしれません。
「一番増えている商品を買えばいいのでは?」
と思ってしまいますが、ここにも注意が必要です。
投資信託の過去の成績は、将来の運用成果を保証するものではありません。
例えば、ある業界が好調だったことで1年間に大きく上昇した投資信託でも、翌年には状況が変わる可能性があります。
むしろ価格が大きく上昇したあとに購入すると、その後の下落に巻き込まれることもあります。
初心者ほど、
「最近上がっている=これからも上がる」
と考えてしまいがちですが、この2つは同じではありません。
過去のリターンを見ること自体は問題ありません。
ただし、
「去年一番上がったから買う」
という理由だけで商品を決めるのは避けたほうがいいでしょう。
長期投資では短期間のランキングより、
どこへ投資しているのか
十分に分散されているか
コストは高くないか
長期間保有できる商品なのか
といった部分を確認することが重要です。
6.仕組みを理解できない投資信託
初心者が投資信託を選ぶときに大切なのが、
「自分が何に投資しているのか説明できるか」
ということです。
投資信託の中には、比較的シンプルな商品もあれば、複雑な運用方法を採用している商品もあります。
商品説明を読んでも、
「結局、何に投資しているんだろう?」
「どういうときに値上がり・値下がりするのか分からない」
という商品を、無理に購入する必要はありません。
仕組みを理解できない商品を持っていると、暴落したときにも判断が難しくなります。
例えば30%下落したとき、
「なぜ下がっているのか分からない」
「このまま持っていて大丈夫なのか分からない」
となれば、不安になって売却してしまうかもしれません。
一方、
「世界中の株式に幅広く投資している」
「米国の代表的な企業に分散投資している」
など、自分が投資しているものを理解できていれば、値下がりしたときにも長期的な視点で考えやすくなります。
初心者のうちは、
自分で仕組みを説明できるくらいシンプルな商品
から検討するのもひとつの方法です。
7.純資産総額が極端に小さい投資信託
投資信託を選ぶときは、純資産総額も確認しておきたいポイントです。
純資産総額とは、簡単にいえば、その投資信託で運用されている資産の規模です。
「純資産総額が小さい商品は絶対に買ってはいけない」
というわけではありません。
設定されたばかりの投資信託なら、まだ純資産総額が小さいのは当然です。
ただし、長期間運用されているにもかかわらず資金が集まらなかったり、資金流出が続いたりしている商品については、状況を確認したほうがいいでしょう。
投資信託には、一定の条件などによって運用を終了する「繰上償還」が行われる可能性があります。
長期投資をするつもりだったのに、途中で運用が終了してしまえば、その商品をそのまま持ち続けることはできません。
そのため純資産総額は、
現在の金額だけではなく、増えているのか減っているのか
を見ることも大切です。
「ランキング1位だから」で決めない
投資初心者にとって、ランキングは商品を探すきっかけとして便利です。
しかし、人気ランキング1位=自分に最適な投資信託とは限りません。
ランキングには、売れている商品最近値上がりした商品、アクセスが多い商品
など、さまざまな基準があります。
そのため、ランキング上位というだけで購入するのではなく、
「なぜこの商品を買うのか?」
を自分で説明できることが重要です。
例えば、
「世界中へ幅広く分散したい」
「低コストで長期間積み立てたい」
「米国株へ投資したい」
など、自分なりの理由があれば商品を比較しやすくなります。
反対に、
「みんなが買っているから」
「ランキング1位だから」
「SNSでおすすめされていたから」
だけでは、相場が下落したときに保有を続ける自信を失いやすくなります。
投資信託を選ぶときは、人気よりも、
自分の投資目的に合っているか
を優先しましょう。
初心者はどんな投資信託を選べばいい?
ここまで「初心者が注意したい投資信託」を紹介してきました。
すると、
「じゃあ、結局どんな投資信託を選べばいいの?」
と思う人もいるでしょう。
新NISAで長期的な資産形成を目的とするのであれば、初心者はまず、
低コスト・分散・長期保有しやすい
という3つのポイントを意識すると商品を選びやすくなります。
例えば、特定の企業や業界だけではなく、幅広い企業へ分散投資できるインデックスファンドは選択肢のひとつです。
代表的なものとしては、
全世界株式型
S&P500などの米国株式型
などがあります。
もちろん、これらの商品なら必ず利益が出るわけではありません。
株式へ投資している以上、暴落によって資産が大きく減ることもあります。
それでも、長期・積立・分散を基本に資産形成をするのであれば、初心者でも仕組みを理解しやすい商品から検討するとよいでしょう。
↓では、実際に新NISAではどんな投資信託を選べばいいのでしょうか。初心者向けの商品をこちらの記事で比較しています。↓

投資信託を買う前に確認したい5つのポイント
実際に投資信託を購入するときは、最低限次の5つを確認しておきましょう。

1.何に投資している?
最初に確認したいのが投資対象です。
日本株なのか。
米国株なのか。
世界中の株式なのか。
特定の業界なのか。
同じ「投資信託」という名前でも、中身によってリスクや値動きは大きく変わります。
商品名だけではなく、その投資信託を買うことで自分のお金がどこへ投資されるのかを確認しましょう。
2.十分に分散されている?
次に確認したいのが分散です。
例えば数十か国・数千銘柄へ投資する商品と、特定の業界の数十社だけへ投資する商品では、分散の度合いが違います。
投資対象を広く分散すれば、特定の企業や地域の不調による影響を抑えやすくなります。
初心者が長期投資するのであれば、どの程度分散されているかは重要なチェックポイントです。
3.信託報酬は高くない?
信託報酬は、投資信託を保有している間に継続して負担するコストです。
特に20年、30年と保有するのであれば、小さなコスト差でも長期間では大きな違いになる可能性があります。
似た投資対象の商品が複数あるなら、信託報酬を比較してみましょう。
4.純資産総額はどうなっている?
純資産総額も確認しておきましょう。
単純に金額だけを見るのではなく、継続的に資金が集まっているかを見ることもポイントです。
純資産総額が増加傾向にある商品なら、それだけ多くの資金が運用されていることが分かります。
5.自分が長期間持ち続けられる?
最後は意外と重要です。
「暴落してもこの商品を持ち続けられるか?」
を考えてみましょう。
どれだけ人気の商品でも、30%、40%と値下がりしたときに怖くなって売却してしまうのであれば、自分にはリスクが大きすぎる可能性があります。
投資信託選びではリターンだけでなく、自分が無理なく長期間保有できるかも考えることが大切です。
↓購入する投資信託が決まったら、次は新NISAを始める準備です。口座開設から積立設定までの流れはこちらで解説しています。↓

「買ってはいけない」より「理解せずに買わない」が大切
この記事では「初心者が買ってはいけない投資信託」というテーマで解説してきました。
しかし、本当に伝えたいのは、
「この商品は絶対に買ってはいけない」
ということではありません。
例えばテーマ型投資信託でも、その業界について理解したうえで、自分の資産の一部として投資するのであれば選択肢になるでしょう。
毎月分配型の商品についても、資産形成ではなく定期的な分配金を受け取ることを目的とする人もいます。
大切なのは、
商品の特徴を理解しないまま買わないこと
です。
「ランキング1位だった」
「SNSでおすすめされていた」
「最近すごく値上がりしている」
という理由だけで購入すると、値下がりしたときにどうすればいいのか分からなくなります。
逆に、
何に投資しているのか。
なぜこの商品を選んだのか。
どのくらいの期間保有するのか。
どの程度の下落を想定しているのか。
を理解していれば、短期的な値動きにも振り回されにくくなります。
まとめ|初心者は「分かりやすく低コストな商品」から考えよう
今回は、初心者が買ってはいけない投資信託について解説しました。
最後にポイントを整理します。
✅ 信託報酬などのコストが高すぎる商品には注意する
✅ 毎月分配型は「分配金が多い=利益が多い」とは限らない
✅ テーマ型は特定の業界などへ投資が偏る可能性がある
✅ 過去の高いリターンだけを見て商品を選ばない
✅ 自分で仕組みを理解できない商品は慎重に判断する
✅ 純資産総額や資金の流出入も確認する
✅ 人気ランキングだけで商品を決めない
そして、初心者が長期的な資産形成を目的として投資信託を選ぶのであれば、
「低コスト」
「幅広く分散」
「仕組みが分かりやすい」
「長期間保有しやすい」
というポイントを意識すると商品を絞り込みやすくなります。
投資信託は数多くありますが、たくさんの商品を購入すればいいわけではありません。
自分の目的に合った商品を選び、長期間コツコツ積み立てることが大切です。
私自身も、将来どの国や企業が大きく成長するのかを正確に予測することは難しいと考えています。
そのため、商品を選ぶときには短期間のランキングよりも、長期間持ち続けられるか、幅広く分散できているか、コストを抑えられるかを重視しています。
新NISAでは非課税で長期間運用できる環境が用意されています。
だからこそ、目先の高いリターンを追いかけるのではなく、
「自分が納得して長く持ち続けられる商品を選ぶ」
ことを大切にしていきましょう。

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