「信託報酬って何?」
「0.1%と1%なら、それほど大きな違いはない?」
「新NISAなら手数料はかからないの?」
新NISAで投資信託を選んでいると、「信託報酬」という言葉を目にすることがあります。
難しそうに感じるかもしれませんが、信託報酬は投資信託で長期投資をするなら、ぜひ確認しておきたいポイントです。
簡単にいうと信託報酬とは、
投資信託を保有している間、運用や管理のために継続してかかる費用
のことです。
たとえば信託報酬が年率0.1%の商品と1%の商品では、その差はわずか0.9%です。
しかし、新NISAで10年、20年、30年と運用を続け、資産が大きくなってくると、この小さな差が最終的な資産額に影響する可能性があります。
一方で、
「信託報酬が一番安い投資信託を選べばいい」
というほど単純でもありません。
投資対象や運用方針、その他のコストなども確認する必要があります。
この記事では、信託報酬の基本的な仕組みから、0.1%と1%でどのくらい差が出るのか、新NISAで投資信託を選ぶときのポイントまで初心者向けにわかりやすく解説します。
投資信託の商品選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
信託報酬とは?
信託報酬とは、投資信託を運用・管理してもらうために、保有している間継続して負担する費用です。
投資信託では、投資家が自分で何百、何千という企業の株式を購入して管理する必要はありません。
運用会社などが商品の運用方針に沿って運用・管理を行っています。
こうした仕組みを維持するために必要となる費用の一つが信託報酬です。

信託報酬は保有している間ずっとかかる
信託報酬の大きな特徴は、
投資信託を保有している期間中、継続してかかる
ことです。
たとえば、株式の売買手数料なら「購入したとき」や「売却したとき」に発生するイメージがあります。
一方、信託報酬は売買をしなくても、投資信託を保有していれば負担します。
新NISAで投資信託を購入し、そのまま20年間保有した場合には、その期間中ずっと信託報酬の影響を受けることになります。
だからこそ、長期投資では確認しておきたいコストなのです。
信託報酬は年率○%で表示される
投資信託の商品ページを見ると、
「信託報酬 年率0.○○%」
などと表示されています。
たとえば、信託報酬を単純計算すると、
100万円 × 年率0.1% = 年間約1,000円
です。
年率1%なら、
100万円 × 年率1% = 年間約1万円
となります。
つまり100万円を運用した場合、
0.1% → 約1,000円
1% → 約1万円
となり、年間では約9,000円の差です。
もちろん、実際には投資信託の資産額は日々変動するため、毎年必ずこの金額になるわけではありません。
ここでは、
信託報酬が高いほど、保有中のコスト負担も大きくなりやすい
と理解しておけばOKです。
誰に支払っているの?
投資信託には、主に運用会社・販売会社・信託銀行などが関わっています。
運用会社は投資信託の運用を行い、販売会社は投資信託を販売し、信託銀行は資産の管理などを行います。
信託報酬は、こうした投資信託の運用・販売・管理に関わる会社への報酬として使われます。
そのため初心者の方は、
「投資信託を運用・管理してもらうための継続的な手数料」
と考えるとわかりやすいでしょう。
信託報酬はいつ・どうやって支払う?
信託報酬について、
「毎年請求書が届くの?」
「証券口座に手数料分のお金を入れておく必要がある?」
と思う方もいるかもしれません。
基本的には、信託報酬を別途振り込んだり、手数料分の現金を準備したりする必要はありません。

投資信託の資産から日々差し引かれる
信託報酬は、投資家の銀行口座から年に1回まとめて引き落とされる仕組みではありません。
基本的には、投資信託の純資産から日々差し引かれ、基準価額に反映されています。
そのため、
「信託報酬として1,000円引き落とされた」
というように、投資家が直接支払っている感覚はあまりありません。
これが信託報酬を意識しにくい理由の一つです。
しかし、目に見える形で請求されないからといって無料ではありません。
投資信託を保有している限り、コストは発生しています。
新NISAでも信託報酬はかかる
ここは初心者が特に勘違いしやすいポイントです。
新NISAを利用すると、一定の条件のもとで投資によって得た利益が非課税になります。
しかし、
新NISAだから信託報酬も無料になるわけではありません。
新NISAは税金に関する制度であり、投資信託の運用・管理にかかる費用とは別だからです。
そのため、新NISAで長期・積立投資をする場合でも、購入する投資信託の信託報酬は確認しておきましょう。
信託報酬は小さい数字だからこそ見落としやすい
年率0.1%や0.2%と聞くと、
「ほとんど気にしなくてもいいのでは?」
と思うかもしれません。
確かに、資産額が小さく運用期間も短ければ、金額としての差はそれほど大きくない場合があります。
しかし、新NISAで長期間積み立てを続けると、運用資産が1,000万円、2,000万円と増えていく可能性があります。
すると、同じ0.数%でも金額としての影響は大きくなっていきます。
さらに、差し引かれたコストはその後の運用に回らないため、長期間では複利にも影響します。
では実際に、
信託報酬0.1%と1%では、長期投資でどのくらいの差が生まれるのでしょうか?
↓新NISAでは信託報酬はかかりますが、投資によって得た利益は一定の条件のもとで非課税になります。新NISAの税金については、こちらの記事で詳しく解説しています。↓

信託報酬0.1%と1%ではどのくらい差が出る?
信託報酬は「0.1%」「0.5%」「1%」など、小さな数字で表示されるため、
「1%くらいなら、それほど気にしなくてもいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、投資額が大きくなったり、運用期間が長くなったりすると、この小さな差が無視できなくなってきます。
まずは、信託報酬0.1%と1%の年間コストを単純計算で比較してみましょう。

100万円なら年間約9,000円の差ですが、1,000万円になると年間約9万円まで広がります。
つまり、
同じ信託報酬率でも、運用している資産が大きくなるほど金額としての負担も大きくなる
ということです。
長期投資ではコストの差が積み重なる
新NISAでは、10年、20年、30年と長期で投資信託を保有することも考えられます。
その場合、信託報酬は1年だけではなく、保有している期間中継続してかかります。
さらに重要なのが、信託報酬として差し引かれたお金は、その後の運用に回らないことです。
たとえば本来100万円を運用できたところ、コストによって運用に回せる資産が少なくなれば、その分だけ将来得られる可能性があった利益も小さくなります。
そのため長期投資では、
「支払った手数料の差」だけではなく、「そのお金を運用できなかった影響」も考える必要があります。
これが、信託報酬のわずかな違いが長期間で大きな差につながる理由です。
将来のリターンは分からなくてもコストは確認できる
投資では、
「これから株価が何%上がるのか」
「20年後にいくらになっているのか」
を正確に予測することはできません。
一方、信託報酬は購入する前に確認できます。
つまり、
将来のリターンはコントロールできなくても、どのくらいのコストの商品を選ぶかは自分で判断できる
ということです。
特に同じ指数への連動を目指すなど、似た商品を比較する場合には、信託報酬は重要な判断材料になります。
信託報酬が低いと長期投資で有利な理由
信託報酬が低い最大のメリットは、
運用中に差し引かれるお金を抑え、その分を資産として残しやすくなること
です。
投資では市場の値動きを自分で決めることはできません。
しかし、運用にかかるコストは商品を選ぶ段階である程度比較できます。
そのため、長期投資では低コストの商品が注目されています。
低コストなら運用に残せるお金が増える
たとえば同じような運用成果を上げた2つの投資信託があったとします。
一方は信託報酬が低く、もう一方は高かった場合、その他の条件が同じなら、信託報酬が低い商品のほうがコストとして差し引かれる金額を抑えられます。
そして手元に残った資産は、引き続き運用されます。
長期投資では、この積み重ねが重要です。
特に新NISAで20年、30年と運用するのであれば、
「毎年わずかな差だから気にしない」
ではなく、
「長期間払い続けるコストだから確認する」
という考え方を持っておくといいでしょう。

インデックスファンドには低コストの商品も多い
新NISAで人気の投資信託には、株価指数への連動を目指すインデックスファンドがあります。
代表的な投資対象として、
全世界株式
S&P500
などがあります。
インデックスファンドには比較的低コストの商品も多いため、同じ指数への連動を目指す商品を比較するときには、信託報酬をチェックしてみましょう。
ただし、
「信託報酬が安い=必ず良い商品」
というわけではありません。
ここは非常に重要です。
たとえば、
「世界中に分散投資したい人」
が、信託報酬が少し安いという理由だけで米国株だけに投資する商品を選んでしまえば、そもそもの投資目的が変わってしまいます。
まずは、
自分がどこに投資したいのか
を考える。
そのうえで、
似た条件の商品ならコストも比較する
という順番で考えることが大切です。
オルカンを選ぶ場合も信託報酬を確認しよう
全世界株式型の代表的な投資信託として知られているのが、
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称「オルカン」
です。
オルカンのような商品を選ぶ場合でも、
「人気だから」
「みんなが買っているから」
という理由だけで決めるのではなく、投資対象やリスクと一緒に信託報酬も確認しておきましょう。
信託報酬は変更される場合もあるため、実際に購入するときは最新の商品情報や目論見書を確認することも大切です。
そしてもう一つ注意したいのが、
投資信託にかかるコストは信託報酬だけではない
ということです。
↓全世界株式型の代表的な投資信託であるオルカンについて、投資先や特徴、メリット・デメリットを詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。↓

信託報酬が安ければいいわけではない
ここまで読むと、
「それなら信託報酬が一番安い投資信託を選べばいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、信託報酬は投資信託を選ぶ重要なポイントの一つではありますが、安さだけで商品を決めるのはおすすめできません。
投資信託によって、投資する国や地域、資産、運用方法などが異なるからです。
まずは投資対象を確認する
たとえば、
- 世界中の株式に投資する商品
- 米国株式に投資する商品
- 日本株式に投資する商品
では、そもそもの投資対象が違います。
仮に米国株式型の商品の信託報酬が少し安かったとしても、
「世界中の株式へ分散投資したい」
と考えている人が、手数料の安さだけを理由に米国株式型の商品を選ぶ必要はありません。
大切なのは、
① 自分が何に投資したいのかを決める
↓
② 条件の近い商品を比較する
↓
③ 信託報酬などのコストを確認する
という順番です。
信託報酬は、投資先を決めるための唯一の基準ではなく、商品を比較するための判断材料の一つと考えるとわかりやすいでしょう。
信託報酬以外のコストもある
投資信託にかかる費用は、信託報酬だけとは限りません。
商品によっては、
購入時手数料
信託財産留保額
などが設定されている場合があります。
また、投資信託を実際に運用する過程では、売買委託手数料などの費用が発生する場合もあります。
そのため、
「信託報酬が最も低い=実際にかかるすべてのコストが最も低い」
とは限りません。
投資信託を比較するときは、信託報酬だけを見るのではなく、その他にどのような費用がかかるのかも確認しておきましょう。
「実質コスト」も知っておこう
投資信託について調べていると、「実質コスト」という言葉を目にすることがあります。
信託報酬は、購入前でも比較的簡単に確認できるコストです。
一方、投資信託を実際に運用すると、信託報酬以外にも費用が発生することがあります。
それらを含めて、実際にどのくらいの費用がかかったのかを確認するときに参考になるのが実質コストです。
実質コストについては、投資信託の運用報告書などから確認できます。
初心者のうちから細かい数字まですべて分析する必要はありません。
まずは、
「投資信託には信託報酬以外のコストもある」
と覚えておけば十分でしょう。
新NISAで投資信託を選ぶときのポイント
では、新NISAで投資信託を選ぶ場合、信託報酬をどのように活用すればいいのでしょうか。
初心者の方は、次のポイントを確認すると商品を比較しやすくなります。

① 投資対象を決める
最初に考えたいのは、
「どこに投資したいのか」
です。
たとえば、
世界中の株式に幅広く投資したい
のであれば、全世界株式型の商品が候補になります。
一方、
米国の主要企業を中心に投資したい
のであれば、S&P500などへの連動を目指す商品が候補になります。
まず投資対象を決めてから、具体的な商品を比較しましょう。
② 同じような商品なら信託報酬を比較する
同じ指数への連動を目指すなど、条件が近い商品が複数ある場合には、信託報酬を比較します。
たとえば、
商品A:信託報酬 年率0.1%
商品B:信託報酬 年率0.5%
だった場合、投資対象やその他の条件が近いのであれば、長期投資ではコストの違いも判断材料になります。
新NISAでは10年、20年、さらに長期間保有する可能性もあります。
そのため、購入するときだけではなく、
「長く持ち続けた場合にどのくらいのコストになるのか」
という視点で考えることが大切です。
③ 純資産総額や運用実績も確認する
信託報酬だけではなく、純資産総額やこれまでの運用状況なども確認しておきましょう。
ただし、過去に高いリターンを出しているからといって、将来も同じリターンになるとは限りません。
過去の成績だけで商品を選ぶのではなく、
投資対象・運用方針・コストなどを総合的に確認する
ことが重要です。
④ 最新の信託報酬を確認する
信託報酬は、証券会社の商品ページや投資信託の目論見書などで確認できます。
商品ページにある、
「信託報酬」
または、
「運用管理費用」
という項目を探してみましょう。
信託報酬は将来変更されることもあります。
ブログやSNSで見た数字だけで判断せず、実際に購入するときには最新の商品情報を確認することが大切です。
↓新NISAで人気のオルカンとS&P500。どちらを選べばいいのか迷っている方は、投資先やリターン、リスクの違いをこちらの記事で比較しています。↓

↓投資信託を選ぶときは、コストだけでなく長期的なリターンも気になるところです。オルカンの過去の利回りについてはこちらで詳しく解説しています。↓

まとめ|信託報酬は長期投資だからこそ確認しよう
今回は、投資信託の信託報酬について初心者向けに解説しました。
最後にポイントを整理します。
✅ 信託報酬とは、投資信託を保有している間に継続してかかる費用
✅ 銀行口座から直接支払うのではなく、投資信託の純資産から日々差し引かれる
✅ 新NISAを利用しても信託報酬はかかる
✅ 資産額が大きく、運用期間が長くなるほどコスト差の影響も大きくなりやすい
✅ 同じような商品を比較するなら信託報酬も重要な判断材料になる
✅ 信託報酬だけでなく、投資対象やその他のコストも確認する
投資を始めると、
「どの商品が一番増えるのか?」
というリターンに目が向きやすくなります。
しかし、将来どの商品が最も値上がりするのかを正確に予測することはできません。
一方、信託報酬は購入する前に確認できます。
だからこそ長期投資では、
自分が投資したい対象を決め、その条件に合う商品の中からコストも比較する
ことが大切です。
特に新NISAで10年、20年と積立投資を続けるのであれば、わずかな信託報酬の差でも長期間積み重なっていきます。
ただし、信託報酬の安さだけを追い求める必要はありません。
「何に投資するのか」→「どの商品を選ぶのか」→「コストはどのくらいか」
という順番で考え、自分が納得して長く続けられる商品を選びましょう。
↓信託報酬のような小さなコスト差は、運用期間が長くなるほど影響しやすくなります。オルカンを20年間積み立てた場合の資産額については、こちらの記事でシミュレーションしています。↓


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